HIV感染症とエイズ(AIDS)
HIV感染=エイズ(AIDS)ではありません。
HIV
Human Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス)
HIVとは、英語の「Human Immunodeficiency Virus」の頭文字をとったもので、ヒト免疫不全ウイルスのことです。 HIVに感染した状態をHIV感染症といいます。
HIVに感染すると、感染症から体を守る働きの中心的な役割を果たしているヘルパーTリンパ球(CD4陽性細胞)が壊され、免疫力が低下します。
ただし、HIVに感染してもすぐにエイズ(AIDS)を発症するわけではなく、多くの人が感染後の数年間は症状があらわれることがありません。そのため、早期にHIV感染の有無を確認し、HIV検査を受けることが必要です。
AIDS
Acquired ImmunoDeficiency Syndrome(後天性免疫不全症候群)
AIDSとは、英語の「Acquired ImmunoDeficiency Syndrome」の頭文字をとったもので、後天性免疫不全症候群のことです。HIV感染により免疫力が低下し、エイズ発症の目安とされる23種類の病気(AIDS指標疾患)を発症した場合、エイズ(AIDS)と診断されます。
HIVはどうやって感染するの?
HIVは、感染者の血液や精液、膣分泌液に多く含まれ、感染する経路には性行為による感染、血液を介する感染、母子感染の3つがあります。日本国内では性行為による感染が最も多いため、HIV感染の予防手段として「コンドームの正しい使用」が最も有用です。
HIV感染からエイズ発症まで
AIDS指標疾患
A. 真菌症 |
1. カンジダ症(食道、気管、気管支、肺) 2. クリプトコッカス症(肺以外) 3. コクシジオイデス症1) 4. ヒストプラズマ症1) 5. ニューモシスチス肺炎 |
B. 原虫感染症 |
6. トキソプラズマ脳症(生後1カ月以後) 7. クリプトスポリジウム症(1カ月以上続く下痢を伴ったもの) 8. イソスポラ症(1カ月以上続く下痢を伴ったもの) |
C. 細菌感染症 |
9. 化膿性細菌感染症2) 10. サルモネラ菌血症(再発を繰り返すもので、チフス菌による ものを除く) 11. 活動性結核(肺結核または肺外結核)1),3) 12. 非結核性抗酸菌症1) |
D. ウイルス感染症 |
13. サイトメガロウイルス感染症(生後1カ月以後で、肝、脾、リンパ節以外) 14. 単純ヘルペスウイルス感染症4) 15. 進行性多巣性白質脳症 |
E. 腫瘍 |
16. カポジ肉腫 17. 原発性脳リンパ腫 18. 非ホジキンリンパ腫(a.大細胞型・免疫芽球型、b.Burkitt型) 19. 浸潤性子宮頸癌3) |
F. その他 |
20. 反復性肺炎 21. リンパ性間質性肺炎/肺リンパ過形成:LIP/PLH complex(13歳未満) 22. HIV脳症(痴呆または亜急性脳炎) 23. HIV消耗性症候群(全身衰弱またはスリム病) |
1)a:全身に播種したもの、b:肺、頸部、肺門リンパ節以外の部位に起こったもの
2)13歳未満で、ヘモフィルス、連鎖球菌等の化膿性細菌により以下のいずれかが2年以内に、2つ以上多発あるいは繰り返して起こったもの
a:敗血症、b:肺炎、c:髄膜炎、d:骨関節炎、e:中耳・皮膚粘膜以外の部位や深在臓器の膿瘍
3)C11活動性結核のうち肺結核、およびE19浸潤性子宮頸癌については、HIVによる免疫不全を示唆する症状または所見がみられる場合に限る
4)a:1カ月以上持続する粘膜、皮膚の潰瘍を呈するもの
b:生後1カ月以後で気管支炎、肺炎、食道炎を併発するもの
平成30年度厚生労働行政推進調査事業費補助金エイズ対策政策研究事業 HIV感染症及びその合併症の課題を克服する研究班:抗HIV治療ガイドライン 2019年3月改訂版:7, 2019